ネットの「価格.com」を訪問することが増えています。
日常的に、何か欲しいものができると、価格を確認するため、同サイトを訪れます。以前から同サイトはよく利用しており、その中のカメラコーナーのクチコミ掲示板掲示板を毎日のようにチェックし、その中で見つけた面白いスレッドを紹介するコーナーを数年の間続けました。
私が向かう関心はそのときどきで変わり、昨年末は音楽配信のApple Musicが関心の中心でした。その時は、より良い音で音楽を愉しみたい、とBluetoothのスピーカーの情報をよく見ていた記憶があります。
今年になってからは動画に関心が移り、そのときは、価格.comからはしばらく離れ、動画関連のYouTube動画で様々な情報に接することをしました。
その延長線で一眼カメラそのものに関心を持ち、先週に一眼カメラを変更しました。今はカメラや写真に最も関心を持っており、カメラのクチコミ掲示板掲示板を久しぶりに覗くことをしています。
その掲示板で、昨日、個人的に面白く感じたスレッドといいますか、そのスレッドにある書き込みを見つけましたので、それを紹介することにします。
以下がそのスレッドです。
このスレッドを立てた人は、今度新しい一眼レフカメラを使うことになり、それにあわせて標準レンズを選ぶとすれば、どんなレンズがお勧めかと問いかけています。
この質問に、何人もの人が、自分なりの考えでアドバイスをしています。
その中で、「カメラど初心者」という人がアドバイスを書いていますが、個人的に面白く感じ、いろいろなことに気づかせてくれました。
価格.comのカメラコーナーにあるクチコミ掲示板でアドバイスをする人の多くは、カメラの機材に詳しいです。それらに詳しいということは、それなりに、それぞれが「機材オタク」の面を持つこととほとんどイコールです。
私はネットの掲示板に参加することはなく、過去にネットの掲示板で書き込みをしたのは、NHK-FMのリクエスト番組「サンセットパーク」(2011年3月末で終了)だけで、ここでの書き込みも2カ月程度であったように記憶しています。
その他の掲示板は読むのが専門です。
カメラを使って仕事をする人であれば、必要な機材をある程度揃える必要があります。それに比べて趣味で写真を楽しむ人は、その人に必要なカメラやレンズなどを揃えれば事足りるはずです。
しかし、何を隠そう私もそうですが、写真を趣味にする人の多くは、自分が必要とする以上に機材に投資してしまう傾向が強いです。
資金が潤沢にある人は、プロの写真家でもなかなか使えないような高価なカメラやレンズを購入します。
ネットの動画共有サイトのYouTubeで動画を配信している人の中にもその傾向が表れ、目玉が飛び出るような高価な撮影機材を平気で購入する例があります。中には、スポンサーのついているYouTuberもいたりするのでしょうか。
それらの機材を駆使して、見る人をうならせるような映像を作っているかといえば、多くの場合は、もっと低価格の機材で間に合うような作例がほとんどです。
写真や動画の撮影は個人の道楽でもあるのですから、他人がとやかくいうことでもないのでしょうが。
今回紹介している価格.comのスレッドで見つけた「カメラど初心者」さんは、必要以上に機材オタクになりがちな人には耳の痛い指摘かもしれません。
その人は、書き込みの中で次のようなことを書いています。
40年間 一流の写真家で有り続ける
野村誠一氏は
1000円のレンズも
100万円のレンズも変わらないと、おっしゃってます
「価格.com」クチコミ掲示板より
この人の書き込みの最後に、例に出したプロの写真家の野村誠一氏(1951~)とは、交流のある方のようです。
この書き込みを見たあと、写真家の野村氏に興味を持ち、YouTubeで野村氏の動画を10本近く見て、面白いと思った動画を、本サイトで6本程度紹介しています。
野村氏のことはよく知りませんでしたが、YouTubeに個人のチャンネルをお持ちであることは前から知っており、何度か動画を見たことがありました。
50年ほど商業写真の世界の第一線で仕事をされてきた野村氏ですから、動画で話されていることにも説得力があり、その辺のYouTuberでは足元にも及ばないところがあります。
野村氏は今年になって病気を患っていることがわかり、そのことについても、自分のYouTubeチャンネルで話されているようです。私は病気について語る動画はまだ見ていません。
私は配信された動画を見ましたが、高価な撮影機材を使ったからといって、素晴らしい作品が撮れるわけではないといった、野村氏の写真哲学のようなものを感じることができました。
もちろん、半世紀にもわたって写真の世界で仕事をされてきた人ですから、非常に高価な撮影機材はお持ちです。それでも、そのときに撮りたい作品のイメージを事前に持ち、それに必要な機材と考えれば、必ずしも高価な機材ばかり必要なわけではない、というような意味を込めて、上で紹介したようないい方をされたことがあったのだろう、と私は理解します。
昨日、本サイトで紹介した野村氏の動画のひとつで、面白い話をしていました。
今のデジタル一眼カメラは高画素で撮れるようになったことで、逆に、「ブレ」や「荒れ」の表現が難しい、というようなことを話されています。
カメラを使って第一線で仕事をされている野村氏ですが、ミラーレス一眼カメラを使い始めたのは昨年ぐらいからだそうです。
野村氏の場合はキヤノンの一眼カメラを使うことが多いそうで、キヤノンのミラーレス一眼カメラのEOS R5を使ってみて、シャープに撮影できることはわかったものの、このカメラで、フィルムのカメラでできた意図的な「ピンぼけ(フォーカスが合っていない写真)」や「ブレ写真」を表現するのは難しいと感じるそうです。
プロの写真家が一冊の写真集を作るときは、どのページを開いても同じ味わいの写真ばかりでは、見る人に飽きられてしまうと考えるそうです。
それだから、バリエーションを豊かにする意味で、ときには、使い捨てカメラを使うことも大いにあるというわけです。
レンズ交換式カメラを使う場合も、このショットは綺麗に移りすぎては困る。そのシチュエーションでは、1000円ぐらいしか値のつかないジャンク品のようなレンズがぴったり、ということもあったりするのでしょう。
趣味で写真を楽しむ個人は、どの写真も同じように精細に写っていることを喜ぶことがほとんどで、そのために、不必要なほど高価なカメラとレンズを無理してでも購入したりすることになる、といったわけです。
結局のところ、プロとアマチュアでは、写真表現に対する取り組み方が根本から乖離していることになりそうです。
カメラメーカーは、限られた大きさの撮像素子により多くの画素を埋め込むことに血のみを上げていますが、野村氏にいわせますと、画素数が600万画素当時のカメラの方が、よりフィルムカメラで撮った写真の味に近い、というように話されています。
このあたりの有益な指摘を、カメラメーカーの人はどんな風に考えるのでしょうか。
一眼カメラを使った動画でも、動画に熱心なYouTuberは、4kが当たり前で、やれ6kだ、8kだ、いや12kだ、と高画素化に踊らされている印象です。
そんな彼らは、高画素の動画で、何を表現したいのでしょうかね。綺麗に写っているように見えるだけで満足なのかな?
実際問題、野村氏の主な活動の媒体である雑誌に載せる写真であれば、1800万画素で十分だと話されています。
私は半月ほど前からキヤノンのミラーレス一眼カメラのEOS RPを使い始めましたが、それで使うレンズは、同社のデジタル一眼レフカメラを使ったときに買ったEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMのみです。
ほかに、大昔、フィルムの一眼レフカメラのヤシカ・コンタックスRTSおよびRTS IIのために購入し、未だに手元にあるカール・ツァイスのプラナー50ミリF1.4とプラナー85ミリF1.4を、マウントアダプタをつけて使うこともありますが、マニュアルフォーカスですから、自分でフォーカスを合せなければなりません。
また、キヤノンのEFマウントのレンズとしては、共に中古で手に入れたシグマの50ミリマクロレンズとタムロンの広角ズームレンズがありますが、どちらもRF用マウントアダプタでは、オートフォーカスで使えず、使うならマニュアルフォーカスです。
このレンズは35ミリフルサイズ用ではなく、キヤノンの場合は1/1.6のAPS-Cサイズ用のレンズです。ただ、このレンズの写りを個人的には気に入っています。被写体に近寄って撮ることもできますしね。
というわけで、実質、キヤノンのズームレンズ1本です。
そんなわけで、RFマウントのレンズも欲しいと思っているのですが、野村氏の”写真哲学”を拝聴し、手元にある1本のレンズだけで、しばらくは頑張ってみようとか、という気にもなっています。
もっとも、私は移り気ですから、すぐに考えが変わると思いますけれど。
ともあれ、価格.comのクチコミ掲示板で見つけた書き込みを端緒に、野村氏の動画を見たことで、写真表現についていろいろと書いてみました。