今朝、日経新聞を読んでいて、記事に添えられた次の画像に目が留まりました。
これは飛行中のドローン(マルチコプター)を撮影した画像です。ドローンの形などに興味を持って目を留めたわけではありません。高速で回転しているはずのローターがほぼ停止した状態に写っていたからです。
この画像が添えられた記事では、電気を無線で送る近未来の夢のような技術を伝えています。
それが実現されたら、問題が起こることも考えられるようですが、電気自動車(EV)が、充電しながら走行できるなど、今の常識では考えられない世界が暗示されています。
それはそれで興味深い話です。しかし、私の興味が向かったのは、近未来の電源供給によって飛行しているのであろうドローンのプロペラの写り具合なのでした。
昔から、この手の写真はたまに目にすることがありました。飛行するヘリコプターのローターが停止して写るような新聞記事の写真です。
カメラに興味がある人であれば、回転しているはずのローターが停止して写る原因はすぐにわかります。
高速回転するプロペラが停止して写るのは、カメラのシャッター速度が速すぎるからだ、と。
高度な技術を伝える記事に、基本的な写真の知識を忘れたような画像が添えられていたことで、私は逆の意味で興味をそそられたというわけです。
私が同様のドローンの飛行写真を撮るように命じられたら、ローターが高速で回転する写真に仕上げたいです。
それでも、この画像を撮影したときのように、晴れて陽射しが強ければ、ISO感度をそのカメラの最低感度の50ぐらいにした上でレンズを限界近くまで絞り込んでも、遅いシャッター速度を得るのは難しくなることもあるでしょう。
そんなときに活躍するのが、本コーナーでも取り上げたNDフィルターです。私がNDフィルターについて書いた分は、動画撮影での利用を考えてのものでしたけれど。
もちろん、NDフィルターは静止画の撮影でも重宝します。といいますか、これなしでは撮影できない写真があります。
たとえば、勢いよく流れ落ちる滝を撮影する場合です。速いシャッター速度でそれを撮影しますと、流れ落ちる水が止まって写ります。
その滝の水の流れを、止めずに撮影したい場合はNDフィルターが必要となります。このフィルターを使って遅いシャッター速度で滝を撮影すれば、水煙のように幻想的な写真になるであろうことが想像できます。
今回のドローンの撮影でいえば、シャッター速度をどのくらいにすれば丁度よい回転に写るか、事前にテストしなければわかりません。
その余裕もない中で撮影したことも考えられ、撮影者に同情したい気にもなります。
仕事以外の時に、自分で色々な被写体を撮影し、データを自分のものにしておくと、いざという時に役に立ちそうです。特に、シャッター速度に関しては。
こんなことを偉そうに書く私がそんなデータを持っているかといえば、まったく持っていません。
単なる勘で、20分の1秒ぐらいで撮影してみたらどうだろう、と考えたりしますが、その遅いシャッター速度で撮影したことで、肝心の被写体、今回の場合でいえばドローンがブレて写ってしまったら元も子もありません。
そんな写真ばかりを新聞社の編集に回したら、「もっとマシな写真はないのか?」と匙を投げられてしまいかねませんしね。