PCでテレビ番組を視聴・録画できる「テレパソ」を私も昨年の8月に実現したわけですが、その後ほどなくしてそれを放棄し、その後再度導入するなどといったことを繰り返して現在に続いています。
その現状ですが、昨年末、またテレパソのシステムを変更しました。
というほど大げさなものではありませんが。新たに買い求めたTVキャプチャ・カード(PC-MV3DX/PCI)も決して悪くはなかったのですが、テレビ番組の録画の際はPCのCPUを使用するソフトウェア・エンコードであるため、録画中は他の作業を控えなければならないといったデメリットがあります。
そこで、今度こそハードウェア・エンコードを備えたカードが欲しいと思ったわけです。
このハードウェア・エンコード・タイプのものであれば、PCに取り込んだ映像データをMPEG-2に圧縮する専用チップがキャプチャ・カードに搭載されているため、PC本体を動かすCPUにはほとんど負担がかかりません。
実は、前回購入したカードも、購入した時点まではてっきりハードウェア・エンコードだと勘違いしていたのでした。あとで勘違いした理由を考えると、こちらが勝手に製品の型番を取り違えていたことがわかりました。
BUFFALOのPC内臓タイプのTVキャプチャ・シリーズは、大きく分けて2種類があります。それがハードウェア・タイプとソフトウェア・タイプで、それらは「PC-MV5」「PC-MV3」に分けられ、さらに「PC-MV5DX」(発売は今月中?)と「PC-MV3DX」というデラックスバージョンが用意されています。
それらを混同していた私は、「MV3DX」を勝手にハードウェア・エンコード・カードだと早とちりしてしまったわけです。
ともかくも、おそらく私にとっては最後のソフトウェア・エンコード・カードになるのであろう「PC-MV3DX」を買い取りに出し、それを“軍資金”にして、ようやくにしてハードウェア・エンコード・カードを手に入れたというわけです。
実際の流れとしては、はじめに新しいカードを購入し、その導入が済んだあとに不要になったカードを売ったわけですが。売ったカードがまだ機種として新しかったせいか、購入したときの値段のちょうど半値の6000円ジャストで売れました。ま、結局は6000円損していることになりますが、売らずに買い足すことを考えれば6000円分を取り戻しているわけで、物は考えよう、と割り切ることにしました。
で、ここで一番の問題になるのは私が導入したカードだと思いますが、最終的に私が選んだのは_「MTV1200FX」です。
まず、その感想から書いてしまえば、「はじめからこれを選んでおけばよかった」です。
メーカーは、業界の老舗ともいえる「canopus(カノープス)」(現 グラスバレー)です。
私は同メーカーについては信頼を寄せています。というのも、PCでビデオ編集を行う「ノンリニア編集」システムに同メーカーのものを使用しているからです。
今現在は生産が打ち切られてしまったDVRaptor NewEditionというのがソレで、専用の編集ソフトの使いやすさも相まって、手放す気にはなれないシステムです。とにかく、カットそれ自体やカットの入れ替えなどが実にスムーズに行え、私にとっては何一つとして不満がありません。今現在、私のPCにインストールされている数あるアプリケーションの中でも一番に気に入っているものともいえそうです。
そのアプリケーションの開発メーカーのTVキャプチャ・カードであるため、購入前から不安は全くありませんでした。ならば、なぜ初めからそれを選ばなかったのかといえば、自分でもそれが不思議です。
ともかくも、今回晴れてカノープスのMTVシリーズを購入したわけですが、実際に購入した日も、実は初めから購入するつもりで東京・秋葉原へ出かけたわけではありません。それが、PCパーツ店を見て回っているうちにどうしても欲しくなり、ほとんど衝動買いのようにして買い求めてしまいました。
購入したのは、秋葉原電気街の中心からは少し離れたところにあるクレバリー3号店です。昨年オープンした店舗で、店内が広いこともあってか、1、2号店よりも気軽に入れるような雰囲気がある、と個人的には思っています。
その店内には各社のTVキャプチャ・カードが数多く陳列されており、それを眺めていた私はついに購買意欲を抑えられなくなってしまった、というわけです。ちなみにそのときの店頭価格は「16479円」でした。
しかし、PCパーツの売値というものは刻々と変化するもので、同店の「特価商品」コーナーを見ると同じものに「15980円」の値段が付けられています。また、新年の大安売り企画をした「PC-Success」(破産)では、新年の元日でしたか、先着1名に限って2004年にちなんで「2004円」で販売したそうです。私はあとになってそれを知り、悔しい思いをしました。が、もし知っていたとしてもよほど早くから並ばないと(前日から年越し覚悟で泊り込み?)「2004円」のカードは手に入れることはできなかったに違いありません。
ともかくも、死んだ子供の年を数えるようなことをしても仕方がありませんので、この辺で実際の使い心地について書いてみたいと思います。
このカードが発売されたのは少し前ですので、その後に発売されたカードに比べ技術的には古くなっている(この分野の技術の発達は非常に速いですから)と思いますが、さっきも書きましたように老舗のメーカーであるだけに、技術の捉えどころがしっかりとしているのでしょう。録画された映像の再現性では、私がこれまでに経験した中でダントツのトップレベルです。
それを言葉にして説明するのは難しいのですが、私がこれまで試したものの映像表現は、それがVTRやスタジオ・カメラで撮影されたものでありながら、どこかフィルムで撮影されたような映像に見えて再生されました。そして、それがTVキャプチャの特性なのだと思っていました。しかし、カノープスのMTVでは、VTRの映像はよりVTRに近い味を持って再現します。
そして何より、購入して驚いたのは、分厚い「ユーザーズマニュアル」つまり、説明書がついていることです。ページ数にして188ページあります。私はこのところこうした説明書のついた製品は購入していなかったため、新鮮な驚きがありました。
逆にいえば、それだけこのカードには説明すべきことがあり、また、設定が細やかに行えることを意味します。しかし、実際に試したところでは、はじめからプリセットされた状態で録画を行っても全くといっていいほど問題は感じません。
基本的にはMPEG-2の「普通」レベルでの録画になります。その際の具体的な設定は以下の通りです。
- Video size:720×480
- Video bitrate:5000000bps(CBR)
- Audio format:MPEG-1 Layer-2
- Audio frezuency:48000Hz
- Audio bitrate:224000bps
また、同カードには、今流行の圧縮コーデックDivXにも対応しており、そのプロバージョンが用意されています。それにより、ハードウェア・エンコードによりMPEG-2で録画しつつ、そのバックグラウンドでDivXにも同時にエンコードすることが可能となり、MPEG-2で見終わったあとは、よりファイル・サイズの小さなDivXでHDDに残すといった選択もできます。
私自身は、今回のハードウェア・エンコード・カードを導入する以前までは、録り溜めた動画はそのままハードディスクドライブ(HDD)に残すことを考えていたのですが、考え方が変わりました。
どうせ残すのならやはり、より綺麗な映像として残したいということで、MPEG-2で録画し、HDDに録り溜めた中でどうしても残したいものはDVDメディアに焼いて残そうと思っています。この一連の作業は市販のHDDと記録型DVDドライブがセットになったレコーダーでも同じようにできるはずですが、同じ事をPCでやれば、よりきめ細かい作業ができるはずです。ま、その分、余計な手間はかかりますが。
そういうことを見越して、昨日、DVDメディアに焼くのに必要なアプリケーションを一つ購入してきました。「TMPGEnc DVD Author 1.5 with AC-3パック パッケージ版」です(店頭価格:9610円)。
これは、私が既に使っている「TMPGEnc Plus 2.5」と対をなす製品です。MPEG-2のファイルをDVDメディアに書き出すソフトは数多くありますが、私は「TMPGEnc DVD Author」の「体験版」を実際に使って既に自家製DVDを作っていることもあり、その使いやすさから、いつか製品版を購入しようと考えていました。
話をMTV1200FXに戻しますと、ハードウェア・エンコード・タイプのキャプチャ・カードならではの機能がいくつもありますが、私が今のところ便利に感じているのが「追っかけ再生」の機能です。
この言葉から大体どんな機能かは推測していただけると思いますが、その言葉そのままに、時間を追いかけるように録画された映像を再生する機能です。
具体的には、MTV1200FXをPC上に立ち上げてあるテレビ番組見ていたとします。この時点で録画はしていません。そのとき、急な用事ができてちょっとの間テレビ番組の前を離れなければならなくなりました。今まであれば、席を外していた時間分は当然のことながら番組を見ることができません。その不可能な部分の視聴を可能にするのがこの機能です。
方法は簡単で、【一時停止ボタン】を押すだけです。その瞬間から番組のHDDへの録画が始まります。そうして、用事を済まして元に戻ったらもう一度【一時停止ボタン】を押します。すると、席を立ったその瞬間から番組が再生されます。
こんな風に書くと、「何だ。それならこれまでのアナログ・ビデオテープでも同じことはいくらでもできるではないか」と思われるかもしれませんが、構造は全く違います。なぜなら、録画された映像を再生しつつ、席を立っていた時間が10分なら10分、20分なら20分の時間がリアルタイムでシフトし、録画されているのですから。つまり、再生しつつ録画が同時進行しているのです。
これはちょっと面白い体験で、たとえば午前7時に【一時停止】ボタンを押し、その10分後に席に戻って再度【一時停止】ボタンを押すと、現実の時刻が7時10分であるのに画面上の時刻テロップは7時になっています。そして必要であれば、この場合であれば10分間の幅で映像を早送りすることもできます。
こういうことをしていると、少し大げさですが、時間を自由に操っているような錯覚に陥ります。
それもこれもデジタル技術の成せる業で、その技術には改めて驚かされてしまいます。そして、このデジタルの一番の強みはコピーしても元の映像を損なわないことで、それにより、たとえばCMの部分をカット編集してDVDに焼くことが実現できます。
ただ、昨年の12月1日に地上デジタル放送がスタートしたことにより、そう遠くない将来、デジタル番組の個人の編集コピーが行えなくなるのかもしれません。が、恐らくはそのための何らかの“救済策”ができるような気が私はしています。
そういえば、昨日の新聞でしたか、地上デジタル放送を視聴できるPCがNECから発表(発売?)になったようです。が、その金額が半端でなく、確か、50万円とか60万円とかとありました! テレパソの究極版ともいえますが、ちょっと手の出る値段ではありませんねぇ。
ともかくも、今のところは技術そのものを楽しんでしまっている段階で、私自身がテレパソに遊ばれている状態かもしれません。ま、それはそれで楽しいですよ。