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オールド「日々の独り言」

2005/07/02 朝日新聞の個人投資家いじめ

昨日の朝日新聞3面を開き、私は心底驚き呆れてしまいました。なぜなら、そこには「東証の怪 超低位株が大商い」という見出しがついた記事が掲載されていたからです。

それでは、上のリンク先のページがいつまで読める状態であり続けるか保証の限りではありませんので、以下に全文を転載・保存させていただくことにします。

「超低位株」が大商い 

東証1部全体の3割超す業績悪化で株価が低迷している非鉄金属加工会社エス・サイエンス株が、東京証券取引所第1部で、30日まで3日連続で出来高首位の大商いとなっている。29日は個別銘柄として今年最高の5億3000万株と、東証1部全体の3割を超えた。インターネットを通じて短期売買を繰り返している個人投資家らが、超低位株の経営情報に反応して殺到したようだ。同社は05年3月期まで7年連続の当期赤字。株価は00年の1335円から下落し、今年5月は14円まで値下がりした。転機は6月28日。事業化を決めた排ガス低減装置で「基準を大幅にクリアし、東京都からの指示で、路上走行テストを始める」と公表した。実際は、都への申請書類に必要な耐久性データを取る手続きに入っただけで、「すでに19社24種類の装置が指定され、トラック業界も対応がほぼ終わっている」(都環境局)が、株価は反応。29日は59円まで急騰し、出来高は株価が1円にもなった「あしぎんフィナンシャルグループ」03年12月3日に記録した6億2000万株以来の高水準に膨れた。4億9000万株の出来高となった30日は47円に急落して取引を終えた。短期売買で利ざやを稼ぐ材料に使われた格好だ。東証2部も30日の出来高は4億6000万株と61年の市場開設以来最高。うちエス・サイエンスが大株主の東理ホールディングスの出来高が2億1000万株と全体の約5割を占めた。市場関係者は「景気の動向を見極めるため大型株に慎重になる中、買い材料のある株に個人投資家が集中した」とみる。

今回問題にしている超低位株の中心は、私もここ数日売買させてもらっています「エス・サイエンス」Yahoo!ファイナンス:エス・サイエンス)です。

ま、それはいいとして、なぜ私がこの記事に驚いたのかといいますと、3面に掲載されていたからです。朝日の3面といえば、あの「社説」が掲載されている面で、一面が“朝日の顔”とすれば、3面はそれに次ぐ“ナンバー2の顔”であるといっても過言ではないと思います。

そんな、朝日の社としての威信を懸けたページに載せるほどに内容を持つ記事であったでしょうか?

では、内容を見ていこうと思うわけですが、『声に出して読みたい日本語』などの著書でお馴染みの齋藤孝さんがおっしゃることには、他人に読んでもらう文章を書こうと思ったら、「まず最初に一番書きたいことを書く」のが大切だということです(←聞きかじりなので不正確かもしれませんが(^_^;)。

それでいくと、今回の記事にもその冒頭に、それを書いた記者の一番書きたかったことが書かれているはずです。では、そこには何と書かれているのか。

業績悪化で株価が低迷している非鉄金属加工会社エス・サイエンス株が、東京証券取引所第1部で、30日まで3日連続で出来高首位の大商いとなっている。

一読すると、ただ単に“事実”を書いているように思われるかもしれませんが、私はここに、記者の苛立ちが感じ取れてしまうのです。

私がそこから受け取ったのはこうです。

これは新聞記事という一応“公式”の文章ですから体裁(ていさい)を繕つくろ)った書き方をしていますが、もし正直に書いてもいいとなったらもっと本心が素直に出ていたものと思われます。

つまりは、「何でこんな赤字会社のボロ株がこんな大商いしているんだよ! 信じらんねー!」といったところでしょう。イライラ感を募らせて文章を書いている様子が窺えます。

あとは、それを裏付けるようなもっともらしい話を書いていますが、私には、冒頭の部分を一読しただけで、記者の真意が見えてしまったので、それ以降の文章は頭の中には入ってきません。

途中、「インターネットを通じて短期売買を繰り返している個人投資家らが、超低位株の経営情報に反応して殺到したようだ」と書かれていますが、それはまさしくそうでしょう。それが出来高をこれほど爆発的に高めたことは否定しません。しかし、それのどこに問題があるのでしょうか。

ハッキリいいましょう。デイトレ(デイトレード=1日の取引の中で売買を成立させてしまう超短期の投資法)をはじめとする短期売買の場合、その銘柄の値騰がり、あるいは値下がりの理由は度外視している面が多分にあります。

とにかく、賑わっている銘柄に参加し、そこで少しでも利益を得ようと考えるわけです。これが現実で、これを「けしからん」といってみても始まりません。

穿った見方をしますと、これを書いた経済部の記者は、自分が投資に参加できないため、こうした銘柄で短期間に利益を得ている人がいる(同時に損をしている人も少なくないのですが)ことが悔しくて仕方がない、といった思いがこうした記事を書かせたのではないか、と思えます。

しかし、考えてもみてください。朝日新聞といえども、まだまだ社会に幾分かは影響力を及ぼします。そんな新聞の、しかも3面という“ナンバー2の顔”にこんな記事が出ることで、大変な迷惑を被る人がたくさんいるということを。

昨日は幸い、同銘柄は前日のように大きく値を下げることはありませんでしたが(終値は前日と同じでプラス・マイナス0 朝日の影響力のなさを象徴しているのかな?)、もしもその記事によって大きく下げていたなら(あるいは、この記事を読んで損切りをしてしまった個人投資家も少なくないでしょう)、どのように責任を取るおつもりなのでしょうか。場合によっては、これは損害賠償にまで発展しかねない記事です。

思えば、例のライブドアとフジテレビによるニッポン放送の株買収合戦が行われていた時期、NHKでは、連日連夜、ライブドアにとって不利となるようなニュースが流され続けました(不思議なことに、株価も、ライブドアが大きく下げた時に限ってニュースで取り上げていました)。

その影響をもろに受け、ライブドアの株は下がり続けていったわけですが、同銘柄の株を保有していた私は、そうしたニュースにとことん嫌悪感を抱きました。「どこまでライブドアの個人株主をいじめれば気が済むのだ!」と。そして、個人投資家の端くれの私は、下落した分を何とか取り返そうとして売買を繰り返し、その疲れからか風邪をこじらせて、死ぬほどの思いをしました。

実際問題、マスメディアは、表向きは「個人株主を保護せよ」などと実に綺麗な主張をするのですが、実際にはそれとは正反対の報道をし、個人株主をいじめ抜く報道を垂れ流しています。その一例が今回の朝日の記事にも感じ取れます。

ここには、これを書いた記者の、それを採用したデスクの、そして朝日新聞という社の「悪意」が滲み出ています。

このように、マスメディアは個人株主には冷酷である一方、自分たちを含めた組織単位の大株主の利益はきっちり守る方向で結束しています。その一例は、“西武のドン”として長年君臨していた堤義明前会長による西武鉄道の株の不正が明らかになり、同社の株が半分以下にまで値下がりした時の対応に顕著です。

私の記憶が確かであれば、同社の株は、“朝日グループ”のテレビ朝日でも保有し、一気に保有株の価値が半減してしまい、大損害を被ることになりました。しかしです。同じように損害を被っている個人投資家を差し置いて、テレビ朝日をはじめとする大株主は、早々に西武グループの総本山である「コクド」から、損失分を補填(ほてん:不足をうずめ補うこと=広辞苑)してもらうという約束を取りつけているのです。

これでは「何をかいわんや」です。

そんな手前勝手な一組織が、なぜにこれほどエラそうに、個人投資家の行いを批判できるのでしょうか? ましてや、この一つの記事によって被害を被った個人が続出した場合、朝日はどのように責任を取ってくれるのでしょうか?

それに対する明確な回答は、明日以降の紙面に待ちたいと思います。

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